HIVは、レトロウイルスの一種であるヒト免疫不全ウイルスに感染する事で発症する感染症であり、現在の医療では1度感染すると最終的にはエイズを発症して死を迎える非常に危険な感染症です。
HIVは、20歳代~30歳代の感染患者が全体の6割以上を占めるという特徴を持つ性感染症であり、2017年には新しい感染患者の約6割が同性間の性的接触により感染しています。
ヒト免疫不全ウイルスは、有害な細菌やウイルスなどから人間の体を守っているTリンパ球やCD4陽性細胞などの免疫細胞に感染してリンパ球に感染すると共に免疫細胞内で増殖します。
増殖したウイルスが体内に拡散する際に免疫細胞を破壊してしまうので徐々に免疫力が低下してしまい、HIV感染患者は梅毒に感染しやすくなります。

梅毒は、梅毒トレポネーマと呼ばれる微生物に感染する事で発症しますが、1回の性行為の感染率は15%~30%と非常に感染力高い一方で感染しても自己免疫力で自然治癒する感染患者もいる性感染症です。
HIV患者は、体内の免疫細胞数が減少し続けているので日毎免疫力が低下しており、感染しても自然治癒していた免疫力の高い人でも梅毒に感染しやすくなります。
静かに病状が悪化する梅毒は、発症初期に軟骨程度の硬度を有する初期硬結や硬性下疳及び小さなバラの花の様なバラ疹などの特徴的な症状を呈する性感染症です。
HIV患者は免疫力が著しく低下している事から梅毒の特徴的な症状が発現し難い特徴があり、無症候性で梅毒を併発している事が多いのが実情です。
また、HIVと梅毒を併発すると免疫力が著しく低下している事から非感染者に比べて十分な治療効果が得られ無いだけで無く、リンパ性間質性肺炎や反復性肺炎などを併発すると共にエイズを発症する事もあります。

HIVの治療は、エイズ発症時に相当する重篤な副作用の多い治療薬で行われていた事からCD4陽性細胞の数が200/μl程度になった時点で行われていました。
現在では副作用が軽減された治療薬が開発された事でCD4陽性細胞の数が500/μl程度になった時点で行われる様になりました。
ヒト免疫不全ウイルスの増殖をプロセス毎に阻害する為に3剤~4剤を組み合わせて服用するHAART療法が行われています。
その為、梅毒の治療時には、HIVの治療薬と薬物相互作用を考慮する必要があるので専門医や担当医に相談する必要があります。

HIVは日常生活の中で感染しない

HIVは、エイズと混同している人が多い事やHIVの基礎知識の不足による偏見などから、日常生活でも簡単に感染してしまう感染症と思われていますが、HIVは日常生活では感染する事はありません。
HIVは、輸血1回で感染する確率が約90%とされている事から非常に感染力の強いウイルスと勘違いしている人が多くいます。
血は病原ウイルスを無数に体内に注入している行為なので感染率が高いのは至極当然であり、逆に病原ウイルスを無数に体内に注入しても感染率90%ならば他の性感染症の方が感染リスクが高いと言えます。
性感染症には、感染率50%と非常に感染リスクが高い感染症状がある一方でHIVはコンドーム非装着のセックスの感染率が0.1%~1%と低いです。
一般的に感染リスクが高いとされるアナルセックスでも感染率は0.067%~0.5%と低く日常生活で感染する事は皆無と言えます。

HIVは、感染患者のヒト免疫不全ウイルスを含む血液や精液及び膣分泌液などが粘膜組織や傷口に接触する事で感染率が上がります。
唾液や尿などの体液に含まれるヒト免疫不全ウイルスの量では感染する危険性が無く、感染するにはバケツ何杯もの唾液や尿が必要です。
その為、現在のHIVの感染経路は違法薬物の注射器の使い回しによる血液感染と多種多様なセックスによる性感染に加え、感染患者の出産時や授乳時に胎児や新生児に感染する母子感染の3経路とされています。
予防法は、セックスの際にはコンドームを装着する事に加えて、オーラルセックスの際にも女性性器にコンドームを広げた物や歯科医療用に開発されたラバーダムシートなどを貼り付けるのが非常に有効です。
オーラルセックス時に感染に気を付けている人は稀なのが現状です。